じんぎすかん あんべ

団欒の幸せを、建築的に表現する。

昭和22年創業、「世界中に団欒の幸せを届ける」という理念を持ち、地域の名物としても知られる「バケツジンギスカン」の発祥のお店としても有名な、岩手県遠野市を代表するジンギスカン専門店「じんぎすかん あんべ」の建て替え工事です。


今回、コンセプトの真ん中には、「団欒」や「バケツ」といった、もともとあんべが大切にしてきたモチーフを採用。建物の主な用途である食堂、物販、セントラルキッチンが中庭を囲う空間構成は、団欒時、食卓を囲むことから着想しました。また、上から見ると真ん中に穴があいているように見えるのも、ジンギスカン鍋を載せるバケツをイメージしています。雪が多いこの地域では、冬場の雪かきが重労働になります。そこで、屋根形状は急勾配と緩勾配を作り、積雪時には緩勾配部分に雪がたまり、雪かきの手間を省けるように。急勾配部分は屋根裏部屋のようになっていて、団体で利用するための個室とスタッフルームが配置されています。


もう一つお題としていただいたのは、従業員不足でも困らない、少人数でもまわせるお店づくり。このご要望に対して、中庭を壁ではなくガラスで構成することで反対まで見通せるようにし、スタッフが建物全体を見渡せることで、各スペースの状況を確認できるように。中庭のサッシは引き違いで開放することができ、季節によってバケツジンギスカンで食事をできるスペースになる。遠野を訪れた方々がジンギスカンを囲んで幸せになれる、そんな空間になっています。